イタリアンレストラン伊和香

大阪府豊能郡豊能町ときわ台にひっそりと佇む、イタリアンレストラン伊和香。お客様の健康寿命を第一に、無添加、化学調味不使用、肉野菜などの原材料は全て国産に拘り抜く、一風変わったレストランです。

詳しくはこちらへ

手作りの料理と付加価値②

カルボナーラの写真 経済
伊和香のカルボナーラ
FavoriteLoadingお気に入りに追加

前回に続き、飲食業に於ける付加価値を考えたいと思います。

既製品とは

外食産業で最も使用される食材の一つに、加工食品や既製品(半製品・化学調味料含む)は外せないと思います。
冷凍加工品や総菜、完全調理品、各種ソース、焼くだけ、揚げるだけ、温めるだけ・・・小さな店でも複数のメニューが提供可能になり、生産性の向上に役立っています。
調味料関係では、だしの素やグルタミン酸系、ブイヨン、フォンドボー、アメリケーヌソース、グラスドビアンまで揃っています。
何だか加工品の紹介になっていますが、ラーメン用トッピングの半熟モドキ煮卵や、固まらない半熟オムレツ・スクランブルエッグ(ホテルの朝食ビュッフェでほぼ使用されています)等、卵関係も豊富で、逆に無いものは無いほどです。
前職で大手メーカー各社と沢山お付き合いしてきましたが、それもう商品開発の競争で、世界各国のローカルフードを隅から隅まで探して商品化されていましたね。外食産業はそのような大手メーカーの旗振りで、かなりの部分が構築されている印象を受けました。
では、具体例より飲食業に於ける付加価値を考えてみます。

カルボナーラを作る過程で、完全加工品及び手作り違いを検証

<加工品のみ>
使用食材:カルボナーラソースの素、冷凍パスタ220g/玉、冷凍ポーチドエッグ
準備:ポーチドエッグ解凍、カルボナーラソース湯煎
調理工程:冷凍パスタを熱湯で解凍、フライパンに加え(ボウルでも良い)、カルボナーラソースのパック開封しA)に流し込み和える、お皿に盛る、ポーチドエッグを乗せて完成
調理時間:約2~3分(パスタの解凍時間は約20~30秒ほど)
販売価格:1000円
商品特徴:提供時間が速い、万人向けの味付け、調理技術を必要としない

<手作り>
使用食材:自家製ベーコン30g、パスタ100g(乾麺または手打ち)、卵黄30~40g、ペコリーノロマーノ30g、パルミジャーノレッジャーノブロック、ブラックペッパー
準備:自家製ベーコンをカット、卵黄をペコリーノロマーノと合わせておく
調理工程:A)ブラックペッパーとベーコンをカリカリにソテー、ベーコンを少し残して取り出す、A)にゆで汁を加えベーコンの脂と残したベーコンから旨味を引き出す、卵黄チーズにA)の出汁を少し加え滑らかに混ぜておく、アルデンテに茹で上げたパスタをA)に合わせ少し水分を吸わせる、超弱火または火を消し卵黄チーズを加えて火の通り過ぎに注意してクリーム状を目指して混ぜ合わせ、適宜お湯を加え最終濃度調整、更に盛り付け、カリカリベーコンをトッピング、パルミジャーノレッジャーノ・ブラックペッパーを削り完成
調理時間:10~15分
販売価格:1500円
商品特徴:香り高い自家製ベーコン、本場さながらの食材と調理法で仕上げる、濃厚な味わい。

いかがでしょうか。極端ではあるものの、文字だけで比べてみても、大きく違いを感じ取れると思います。加工品の方は、カルボナーラソースの素を使用しているので、予めベーコンも入っていますし、化学調味料や香料、添加物で火を入れても固まらない、万人向けのそれらしい味に仕上がっています。ポーチドエッグも乗せて、ボリュームもありますよね。
加工品の利点は、「下準備の簡便」「調理時間の短さ」、及び「調理技術を必要としない」、ところだと思います。
では実際にお金を出して喫食されるお客様の評価はどうでしょうか。
例えば、本場ローマで食べる様なカルボナーラを求めている場合、加工品で仕上げるパスタは最低評価となるでしょう。一方で、「取り敢えず」「安価」「早く」カルボナーラを食べたい!と思う人にとっては、違った評価になるかも知れません。
このように、商品への「期待度」が一つの「価値基準」となり、評価するプロセスが見えてきます。
感覚に近い「期待度」は人それぞれ異なるため、店側が商品に込める「価値」を必ずしも、お客様は同等の「価値」として受けらない訳ですね。(私にとっても永遠の課題です・・・?)

ここから重要な視点で纏めますので、今一度、カルボナーラの商品特徴を見てください。
<加工品>
屋台など空腹を満たすことが目的ならば、一定の価値はあり。
しかし、何れの特徴も「商品に込める価値」と言うより、店側の都合で「生産性や利益」を重視していることは明らか。自宅での再現も容易。
老若男女、一定の評価する平均的な味付けである一方、好みでの反応は薄い。

<手作り>
本場さながらの食材と、デリケートで高い技術を要求するソースは、化学調味料不使用で添加物は一切含まないため、商品に込める価値そのも。同等の食材を揃える事だけでも、自宅での再現は難しい。
また、本場に特化しているので、万人向けの味(仕上がり)ではない為、好みが分かれる。

大手食材メーカーと既製品

私は、過去数多くの加工品を使用してきました。化学調味料や添加物もお構いなく。作業性と美味しさだけを求めている時期あり、その時はそれが全てでした。
ですが、大手メーカーと商談や商品開発に携わるなかで、ふと疑問を覚えるようになったんです。その疑問を何度も繰り返し考え、納得いく答えを探し続け辿り着いたのが、「食品メーカーの加工品を使用することって、メーカーの代理販売」だと言うことを。
自分達のイメージする味、香り、そして料理を、限られた時間と手で作ろうとすると、どうしても生産性を落とさなければなりません。もしくは、カバーするだけの労力(人手)と機材等が必要です。要は費用(コスト)です。
安心安全、且つ美味しく拘りの料理を実現するには、どうあっても費用を多く掛けなければならないのです。
ですから、高級ホテルや名だたる割烹、フレンチのレストランは、惜しげもなく労力と時間をかけ、よりよい機材を揃え、高価な食材を用いて技術の高いシェフが調理をするため、一皿が高額な料理になる訳です。
この、労力と機材の部分を、カバーする食材として生まれたのが、化学調味料や半製品(仕掛け品)、各種温度帯の総菜などの既製品なのです。
大手メーカーとの商談で良く耳にしたのが、「シェフの手助け、時短を実現、味の安定化・標準化、アルバイトでも同じ味に仕上がりますので、トータルでローコストですよ」、と。本当にこのセリフは何度も何度も聞きましね。
実際、お店で何気なく提供している旬の「スープ」ですが、何時間もかけて取る野菜のブロードや鶏のブロードを使用し、旬の野菜を丁寧に加工して作るので、正直に少し楽したいなぁ、と思うことはあります。この一品だけでも、凄く手間が掛かるので家では作ろうと思いませんしね。

現在大手の食品メーカーは、概ね家庭向けの商材を製造していました。しかし、豊かな暮らしとともに外食が多くなり、結果家庭での調理は減少し、伴って販売量も縮小を余儀なくされた訳です。
そこで、新たな販路を外食に定め、どんどん進出していき、それこそ今では大手メーカーが外食の流行を作る程になったのです。(実際メーカーの役員から何度も聞いた話です)

豊能町ときわ台駅前に、個人としては多額の投じてイタリアンレストラン伊和香をオープンさせたのですが、なぜ大切な自分の店で、加工品の使用を通じてメーカーの代理販売をしなければならないのか。と思うわけです。原料系の食材以外ほぼすべてに添加物が含まれているので、そもそも使用しませんが。
しかし人によれば、「それを言うならば、野菜や畜産物などの食材も、使用を通じて農家の代理販売と言えるでは?」と。ご指摘の通りです。
私個人の独断と偏見ですが、生鮮や畜産物を生産する第一産業と、それを加工して販売するものは(私も含め)同列では無いと思います。株式会社である大手メーカーと、国に留まり国民の食糧を供給する生産者とでは、大きく異なります。(最近では、大手メーカーも契約栽培や自社ファームをもっているので、食糧供給面に於いて一定の貢献を果たしていると言えますが)
前回投稿でも少し触れましたが、食料自給率が著しく低いこの国で、最も必要なのは「需要」なのですから、率先して農家さんの代理販売を行いたいと願うのです。
(食料自給率については、リンクを貼っておきますので是非お時間ある時にお読みください)
【農業問題を考える(上)】「日本の本当の食料自給率は10%前後にすぎない!」 東大大学院 農学生命科学研究所の鈴木宣弘教授に聞く | 株式会社共同通信社 (kyodo.co.jp)

[余談]
メーカーに恨みがある訳ではないのですが、株主資本主義社会の現在に於いて、企業はどうしても利益優先とせざるを得ないんですよね。(じゃ、株主って誰?と思われた方、是非大手企業の大株主を調べてください)そしてその代償として、何かの犠牲を生んでしまいます。
美味しければ良い、楽ならば良い、だれでも作れるから良い、良い、良い・・・・、株主資本主義は別名「株主至上主義」と呼ばれ、そこで働く人や提供する商品・サービスの品質より、株主の利益を最大化させるのが目的なのです。何か歪みを感じますよね。
この話題もめちゃくちゃ奥が深いので、また別の記事で投稿できればと思います。

最後に

生産者(私も含む)が商品に込める価値と、お客様が期待する価値は必ずしも一致しないので、評価を頂くのは本当に難しく、大変です。
お客様の健康寿命(※)延伸を願い、食品・食材・料理対する考えや情報を発信することで、少しでもお役立てればと思います。
手作りの料理と付加価値についての記事は以上となります。二回に渡り、ここまで読んで頂きありがとうございました?
少し難しい内容だったかも知れませんが、ご質問などございましたら是非コメントをください。
今回の記事で、「参考になった」「良かった」と思われた方、是非シェアくださいね!

健康寿命とは
健康上の問題で、日常生活が制限されることなく、生活できる期間。

コメント

タイトルとURLをコピーしました