さて今回は、伊和香で提供している本格ボロネーゼの作り方(レシピ)を紹介いたします。
ご自宅でボロネーゼといえば、既製品のミートソースをイメージする方も多いかも知れません。
少し衝撃かも知れませんが、イタリアンレストランやパスタ専門店でない限り、業務用の既製品を使っているお店も多いです。
ボロネーゼは歴史も古く、イタリアのエミリア・ロマーニャの代表的な煮込み料理です。
ボロネーゼの美味しさは、何といっても「肉感」と野菜の「甘み」だと思います。
このソースを作るにあたって、「肉感」を伴った「シチュー」をイメージすることがとても重要です!
ひき肉料理は全て同様で、固い部位を食べる為の手段ですからね。
これから紹介する方法で作れば、レストランの味が再現できるかも?
前回のエントリー「お金の本質と伊和香出店の決意」から、長らくお待たせいたしました。
お陰様でお店が忙しく、また身体の疲れも溜まり、ここ3週間は家では寝るだけになっていました?
昨日8/15は台風7号横断のため臨時休業とさせて頂き、その時間で今回の記事を書き上げました!
是非、最後までお読みくださいね♪
そして、超美味しいボロネーゼを作って、伊和香と比べてみてくださいね?
ボロネーゼを作る
材料(10人前)
ボロネーゼは、沢山作って冷蔵・冷凍保存しておきましょう。
料理はそれぞれ作る為の「適量」があります。例えば、ご家庭でチャーハンを作る場合、美味しく仕上げるには3人前が限界と思います。もちろんフライパンの大きさや火力等、様々な要素はありますが、
実際余裕をもって美味しく仕上げるには、2人前位じゃないでしょうか。
ボロネーゼも同様で、1人前でも作れなくもないですが、5人前以上で作ることを推奨します。
最初に述べておきますが、材料費は全て揃えるとそれなりの額になります。
伊和香でも、「スパゲティ・ボロネーゼ」はカルボナーラに次いで高級パスタの位置付けなんですよね。
メインとなる肉は、脂の量次第でソースの量、しっとり感など仕上がりが大きく変わります。
- 国産豚肉・・・300g
部位はどこでもいいですが、味と脂のバランスの良い「ウデ肉」を推奨します
ここで拘って欲しいのは、国産であることです。国産は輸入に比べ、ほぼ倍以上の値段がつきますが、是非伊和香と同様に拘ってみてください。
(国産の重要性については<牛肉も同様>、後述解説します)
挽肉を使用しても良いのですが、正直原料が不明(何でも混ぜれる)ですし、可能ならば「切り落とし」や「小間肉」を用意してください。「切り落とし・小間肉」は、良く購入するお店で部位を聞いてみても良い思いますよ。 - 国産牛肉(外モモでよいです)・・・500g
豚肉同様に、ひき肉を買うのではなく、切り落としやブロックを購入してください。
肉の粗さや、脂の割合も自分で調整できるのでお勧めです。 - パンチェッタ(無添加)・・・200g
無ければ、無添加の生ハムでも良いですが非常に高価なので、「豚肉」を増加してください。無添加でない、パンチェッタや生ハムは、必ず多くの添加物が使われています。特に「発色剤」は必ず含まれており危険度が高いので、無理な使用は控えてください。 - 玉ねぎ(野菜は出来るだけ地元の野菜を使いましょう)・・・500g
- 人参・・・300g
- セロリ・・・一本(中サイズ)
- ホールトマト(オーガニック)・・・600g(4号缶)
ホールトマトは、安価な(4号缶150円以下?)ものは使用しないでください。大抵、ホールトマトは輸入品であり「イタリア産」なのですが、あってはならない「闇」が存在します。別途説明します。オーガニックの物なら、原材料が明確になっているのでまずは安心ですね。 - 赤ワイン・・・1000cc
好みのワインで良いですが、料理用ワインは偽物なので(料理用の酒やみりんも然り)使用は控えてください。 - バルサミコ酢(オーガニック又は無添加)・・・100g
バルサミコは多種多様なものがあり、価格もピンキリです。選び方は非常に難しいのですが、ここでも「オーガニック」を選んで頂ければ良いです。バルサミコ酢はかなり奥が深い調味料でもあり、日本国内で流通している安価なものは「もどき」と覚えておいてください。
判断の目安としては、原材料に「カラメル色素」が含まれていないことを確認してください。これは「絶対」ですよ!
カラメル色素は「黒色」の着色料であり、摂取してはならない最悪な添加物です。本来バルサミコ酢はめちゃくちゃ時間と手間をかけて作られるものであり、物凄く高級品です。(100gで数万円以上)また、別の機会に解説したいと思います。 - ナツメッグホール(ホールが無ければ粉末で良いです)
- 塩(イタリア産岩塩は不要、国産粗塩で十分)・・・適量
適量の理由について。ソース系の味付けは、調味料を定量化はできません。なぜなら、肉や野菜に含まれる水分や油分は一定していませんし、火力や湿度なども異なる為ご理解ください。 - ローリエ(1~2枚)
- 炒め用油(オリーブオイルは不要)・・・適量
できれば国産原料「米油」が最も適しています。と言うよりも、普段使いの油脂は米油一択で良いですね。
注意しないといけないのは、輸入米糠を使用したものが多い(安い)ので、原料をよく確認してください。
また、ピュアオリーブオイルや、大豆油(大抵は遺伝子組み換え)、菜種などはトランス脂肪酸が多いのですし、米油はほんとサラサラで脂っこくなり難いので、超おすすめですよ!
エキストラバージンオリーブの使用を進めるシェフも多いですが、私は非推奨です。
余談
エキストラバージンオリーブは酸度が0.8%以下(日本以外)と明確な定義がなされており、とってもフレッシュなオイルなんです。フレッシュと言うことは、栄養素も多いですよね。
栄養素は別の見方をすると、油脂にとっては不純物でもあります。油脂にとって不純物とは、加熱すると焦げる(化学反応)、焦げやすいと言うことです。専門用語で言うと、「発煙点が低い」のです。
バターをイメージすると理解し易いと思いますが、バターも焦げやすいですよね?
あっという間に発煙し、黒く焦げていきますよね。エキストラバージンオリーブの発煙点はバターと同様、または、バター以下と言われています。
バターで炒め物はしないですよね。フレンチで魚のポワレ等でバターを使いますが、焦げやすいので必ず「澄ましバター」を使用します。(わざと焦がして香りを楽しむこともしますが)
そもそも、本物のエキストラバージンオリーブはバターよりもずっと高価ですし、熱を加えると一瞬で香りが飛んでしまうので、ただただ勿体ないだけですね。だから、バターはバターモンテ(仕上げの香り付け)、エキストラバージンオリーブもサラダや、パスタの最後に少し回し掛ける訳ですね。
下処理
- 肉(牛、豚)
包丁またはフードプロセッサーで粗く刻んで、2gの塩を加え少し練っておく。(ハンバーグのようなイメージ) - パンチェッタ
粗みじん切りに刻む - 野菜(玉ねぎ、人参、セロリ)
玉ねぎ・人参は微塵切り、セロリは茎のみ使用、縦に3、4等分しスライス - バルサミコ酢
料理完成前で良いが、1/4程度に煮詰めておく(重要) - ホールトマト
硬質化した部分や皮が混入していますので、取り除いてからトマトを優しく握りつぶしてください。(カットでもよいですが、洗い物を極力出したくないので)
調理
- 野菜のソフリット
野菜全てを油(適量)と少しの塩で炒めます。塩は野菜から水を出やすく(汗をかく)するため。
ここでは出来るだけじっくりと炒めて甘みを引き出します。多少焦げても構いません。 - 次に、1の鍋にパンチェッタを投入して更に炒め、火を止めて置いておく。
- 別の大きめのフライパンを用意して肉を炒めるのですが、大きなハンバーグのイメージで焼けばいいです。下手にいじらず出来るだけ塊のまま火を入れること。
7~8割火が入ったら、大きなハンバーグを少し崩しながら、更に水分を飛ばす様に炒める。 - 赤ワインを全て投入します。
中火~強火で、赤ワインで肉を煮切るように詰めていきます。
水分より脂の方が多くなり、パチパチっと弾ける音がしたら次に移る合図です。 - ホールトマト、トマトペースト、少し火で炙ったローリエを投入して弱火で煮込む。気になる方は灰汁をとってください。私は灰汁は取らずに、挽肉から出た余分な脂のみ取り除きます。(肉の脂は好みなで取れば良いのですが、取り過ぎると美味しくないです)
- トマトの水分が無くなる頃に一度、試食で肉の状態を確認します。硬く口の中で残る場合は、少し水を足して煮込んで調整します。(この時点でもかなり美味しいと思います)
- 煮切りバルサミコ酢、塩、ナツメグホールを削り加えます(ナツメグはとっても香りが強いので、少しずつ確かめながら加えてくださ)。塩分は少し感じる程度に抑えることが重要です。
ラザニアなどで使用する場合は味を決めて問題無いのですが、パスタのソースでは、塩分を含むパスタとゆで汁を絡めてソースを完成させます。
※煮切りバルサミコ酢は、コクと穏やかな酸味、色艶を引き立てる重要な締め調味料です - 最後に味見をして、肉の固さ、塩味、甘み、酸味の状態を確認して完成です。
アッラ・ボロネーゼ
最後に、ボロネーゼのパスタを作ります。
美味しいソースを作ったので、美味しくパスタとして仕上げましょう!
材料(2人前)
- パスタ・・・200g
- スパゲッティ
出来れば、ブロンズの太目のスパゲッティ(1.8mm以上)を推奨します。
パスタは、生地を抽出する際に用いるダイス(金具)で2種類に分けられます。
ブロンズダイス・・・パスタの表面がザラついていて、ソースに絡みやすい(推奨)
相対的評価:もっちりな食感、グルテンが溶け出しやすい
推奨パスタ:ヴォイエッロ、ディチェコ、ガロファロ、モリサーナ、モノグラーノ
テフロンダイス・・・パスタの表面はつるっとしていて、ソースは乗りにくい
相対的評価:強い食感と伸び難い。グルテンは溶け出しにくい
推奨パスタ:バリッラ、ディビエッラ、ブイトーニ、コラヴィータ、フェリチェッテ - タリアテッレ
イタリア本場と言えばこのパスタ。日本では「きし麺」ですかね。
がっつりソースと絡むので、ぴったりなパスタと言えるでしょう。
- スパゲッティ
- 塩・・・お湯に対して0.8~1%
イタリア産の岩塩がマストって言うシェフも多いですが、正直変わりません。
国産の粗塩で良いです。 - エキストラバージンオリーブオイル・・・20g
取り敢えず、250gで1000円以上のものを用意してください。
日本は、エキストラバージンオリーブの定義が緩く、偽物と言うかヨーロッパならばEXVと名乗れないオイルがかなり多く出回っています。
伊和香でも使用している、「サルバーニョ」が万能でお勧めですよ! - ブラックペッパーホール
ミルがあれば良いですが、無ければすり鉢かまな板の上で粗く潰す - パルミジャーノ・レッジャーノ(熟成期間24カ月以上推奨)
パルメザンチーズは絶対に「×」ですよ!偽物ですし、乾燥させて風味も薄く、添加物が含まれており、大抵がUS産のミルクを使用したものですから論外です。
非常に高価ですが、イタリア(パルマ産)の24カ月以上熟成させたブロックを購入してください。(もちろん伊和香も、パルミジャーノレッジャーノを削ってお出ししています)
熟成期間が違えは全く別物と言って良いほど風味、コクが変わりますよ。
パルミジャーノ・レッジャーノ
名称は地名(パルマとレッジョ)に由来し、パルマ県、レッジョ・エミリア県、モデナ県などのエミリア・ロマーニャ州およびロンバルディア州の一部で作られます。
決められた原料及び製造方法や熟成期間を厳守することで、DOPの認定を受けることができ、その証として刻印され「パルミジャーノ・レッジャーノ」を名乗ることができます。
調理
- パスタを茹でる
- 圧力鍋で茹でる方法
1.6mmなら、お湯が沸いて塩をいれてから蓋をしめて強火、錘が揺れ始めたら弱火にして1分30秒、火を止めて1分30秒蒸らす。
(パスタが1mm太くなる度に、各30秒増やす) - 通常鍋で茹でる方法
湧いたたっぷりのお湯と塩、袋に表示されている2分前にパスタを取り出す
- 圧力鍋で茹でる方法
- ボロネーゼソースを鍋(フライパン)で温める
- 茹で上がったパスタとゆで汁50cc程を、温めたボロネーゼソースに加える
- 中火でソースをパスタに絡めて、水分が少し残る状態まで含ませる
- 最後にエキストラバージンオリーブオイルを回しかけて、よく混ぜ合わせる。
- お皿に盛りつけて最後に好みで、パルミジャーノ・レッジャーノとブラックペッパーをミルで削れば完成。(上が1.9mmのスパゲッティ、下がリガトーニ)
Point
パスタは茹で時間を早めに切り上げて、同時に温めておいたソースをゆで汁と一緒に含ませる。
パルミジャーノレッジャーノは多めが美味しい。完成してから盛り付けるまで、出来るだけ手早く短時間で仕上げる。
最後に(トマト缶の闇)
普段ご自宅で、ホールトマトやダイストマトを使用されると思いますが、製品をよく選んで購入されていますか?
イタリア産と記載されていても、実はそのほとんどが「中国産」であること、ご存知でしょうか。
イタリアは自国で生産する量をはるかに超える量のトマトを、缶詰として出荷しています。
???ですよね
イタリアの農家さんが一生懸命作ったトマトの総量より、多くのトマトを輸出している訳です。
おかしな話です。
そう、めっちゃおかしな話なんですよ。
結論から言いますと、中国から加工されたトマト缶を仕入れて、水で薄めるなど少し加工して、製品として出荷しているのです。(イタリアだけでは無いようですが)
なぜ中国産トマトがイタリア産に?
とんでもないカラクリがあります。
実際商品は、原材料原産地と加工地に区分されます。中国の原材料をイタリアで加工(添加)した商品は、イタリア産と表記されてしまいます。この場合、イタリアはただの加工地です。
原材料系の商品で加工地と原材料地が異なることは、通常おかしいですよね。
因みに、中国はトマトの生産量世界一位です。イタリアは7位以下のようですが。
中国産をわざわざ他国が関税や運賃などコストを払ってまで製品化(輸出向け)するより、中国が製品化すれば相当安く(価格競争力も高い)販売できますよね。なぜ中国はそうしないのでしょうか。
そりゃ、自国で製品化して売るより、イタリアへ売った方が利益を獲得できるからでしょう。
では、なぜか。
イタリア産のブランド価値が高い、これに尽きるからでしょう。
イタリアが、自国の原材料で商品を作って売っているかのように見せかけて、高値で売ることが出来るためですよね。(裏を返せば、イタリア農家はこれ以上価格を下げられない)
まぁ、酷い話です。
さらに、中国は「地溝油(腐った溝の油を毒性添加物で再利用)」や「段ボール饅頭(その名の通り)」で一時期話題になりましたよね。
ある意味エシカルで今で言うSDGs的?なのかも知れませんが、中国での生産は、きちんと監視しなければなりません。信用など無いに等しい訳ですね。
中国が悪い、と言う訳ではなく、そのような国、と言うことなんです。
以前の職場で、何度か中国へ行きましたが、基本的に日本人と相容れないと強く感じたのを覚えています。今は繋がりは無くなってしまいましたが、日本で暮らす中国人の料理仲間はとっても良い方達でした。中国と言う場所と言うか、国が人をそのようにさせるのかも知れません。
少し古い記事ですが、参考までに転載します。
中国人も「食べたくない」驚愕の成長ホルモン漬け“速成鶏”
2013年1月、中国では鶏肉の安全を揺るがす事件が相次いで発覚した。抗生物質や成長ホルモン剤を過剰に投与した鶏肉が、上海にあるケンタッキーフライドチキン(KFC)店舗で使用されていたことが分かり、大騒ぎになった。さらには、河南大用グループという、家禽の飼育から販売まで行っている中国の大企業が、病死した鶏肉を中国国内のマクドナルドやKFCなどに卸していたのだ。日本マクドナルドも、製品の一部に河南大用の鶏肉を使っていたことを認めた。
https://bunshun.jp/articles/-/6195
何を選ぶ
間違えなく選べる方法は、高級なホールトマト(オーガニック)か、国産原料、及びフレッシュトマトしかありません。
因みにオーガニックホールトマトは、中国原料であろう物と比較し約2~3倍以上の値段となります。
フレッシュトマトもその位かと思います。
トマト缶を購入する際は、原材料の確認と製品のホームページで確認し、出来ればその会社へ問い合わせをしてみてください。
伊和香で使うトマトは、オーガニックかフレッシュトマトだけです。個人がオーガニックを安定して調達するのも大変ですし、フレッシュトマトは高価で劣化しますし、苦労が絶えません。
ですが、お客様の健康を考えれば、選択の余地が無いのです。
皆さんも、トマト缶を購入するときは必ず注意してくださいね!
今回も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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