今回は、長引くデフレによる不況、コロナ禍を経てなぜこの厳しい環境で伊和香の出店を決意したのか。 大手優良企業? で20年以上長く勤め、会社の利益を追求し、ひたすら出世を目指していた者が、どの様な着想を得て自営業を選択したのか。
お金の本質を知らなければ、間違えなく伊和香を出店せず、今なお前職で勤めしていたことでしょう。
それほど、お金の本質を知れば目から鱗、世の中の見える世界が変わると言っても過言ではありません!
更に、テレビやニュースによる情報の本質も見極める事ができると思いますよ。
(と言いつつも、私はテレビを全く見ませんが)
お金の本質については、出来るだけ簡単に説明しますので、今後独立を考えている方や、お金について本当のことを知りたいと思う方は、とってもとっても長いですが、是非最後まで読んでくださいね。
通貨供給のフローと、出店決意に至る部分を簡単にまとめようと書き始めたのですが、経済は全て繋がっているため、区切ることができず網羅的になってしまいました。 非常に多くの情報を記事にまとめていますので、少しずつ読み進めて頂ければ幸いです。
気になる点(理解できない)、何だかおかしいな、など感じられた方、ぜひコメントくださいね!
(誹謗中傷は不要ですので悪しからず)
お金とは
もし小さな子供に「お金って何?」って聞かれたら何と答えますか?
まぁ大抵は貨幣や紙幣を見せてあげて、これがお金だよ、って説明しますよね。
生活していく上で無くてはならない、幾らあっても困らないものですよね。しかしながら、いざお金の本質を伝えようとすると、途端に難しくなります。
まず結論から、お金とは「債務と債権の記録」です。
は?何?ってなりますよね。私も10年ほど前だったと思いますが、固定概念が邪魔をして全く頭に入って来なかった事を覚えています。
何で、「債務と債権の記録」がモノやサービスと交換できるの?誰が誰に借りた記録なの?ってなりますよね。
ところで、お金「自体」に価値があるのでしょうか?
「ある」と答えた方は、錯覚してしまっていますよー。(硬貨に関しては金属なので、各種重さに応じた価値はありますが)
感の良い方は、紙幣を見て「日本銀行券」と記載されているこに気づかれたのではないでしょうか。
では、順にお金の本質を見ていきたいと思います。
これより以下、お金の名称は便宜的に「通貨(現金)」または「貨幣・紙幣」と呼ばせていただきます。
お金って何者?
「お金」って文字で書くと、「金」ですよね。この文字自体、実は「通貨」の本質を理解する上でとても惑わせる要因の一つとなります。戦前、政府が紙幣を発行するめには、価値の裏付けとする金(ゴールド)が必要でした。皆様ご存知の「金本位制」です。
金(ゴールド)がなければ、新たな紙幣を発行でず、戦費の調達もままならい状況だったわけです。
金本位制は数々の問題を抱えるため、世界各国は脱退して現在に至る訳ですが、では今手元にある現金(預貯金含め)って裏付けされた価値って何なのでしょうか?
通貨(現金)の正体
「通貨(現金)」は金属や宝石などと同様に、そのものに価値があると考える方は多いと思います(ほとんど?)。
別の見方をしますが、現金を消費する(買う)と無くなってしまうのでしょうか。
答えは「×」です。現金紙幣はモノやサービスを購入しても無くなりません。
理由は簡単で、必ず誰かの手に移る(誰かの所得)からです。もちろん、購入した本人の手元からは無くなりますが、現金紙幣自体はこの世から無くなりません。実は、ここからが通貨(現金)を理解する上で最も重要な論点です。
通貨がこの世から消滅するとすれば、唯一、債務を「返済」した時だけです。
冒頭でも触れましたが、現金紙幣は正体は「債務と債権の記録」だからです。
例)
AさんはBさんから無利子で100円を借りました。その際、AさんはBさんに借用証書を発行。
AさんはBさんに債務を負い、BさんはAさんに債権(借用証書)を保有しています。
Bさんの保有する債権を、Cさんの生産するトマト1コと交換(譲渡)しました。
例題の通り、ただの「債権」が譲渡性を持つと「現金」と類似していませんか?
(実際には個人が発行した「債権の記録」に「譲渡性」を持たせることは難しいです)
そうなんです。現金紙幣の正体は、日本銀行が発行する債券なのです。ですから、各お札には「日本銀行券」と書かれている訳であり、それ以上以下でもありません。
簿記的表現をすると、私達にとって現金紙幣(預貯金)は「資産」であり、日本銀行(市銀も)にとっては「負債」なのです。
負債だけ増えることもなければ、資産だけ増える事もありません。必ず、誰かの資産は誰かの負債です。
ここがとても重要なので、必ず押さえた上で読み進めてください。
解説:負債と資産
よく「国の借金」という言葉を耳にすると思いますが、実際にこの表現は誤っており「政府の負債」が正しいのです。
仮に借金だとしても、その反対には必ず資産があります。借金だけ増やすことは不可能です。
ではなぜ、債務だけをクローズアップするのでしょうか。不思議ですよね。
長期ローンで家を建てたとすると、借金(債務)だけ手元にあるのでしょうか?違いますよね。
戸建ての「家(土地)」が「資産」として存在する訳です。
では、「政府の債務」の反対に存在する「資産」って何だと思います?
ざっくりと、民間(企業、家計)が保有する資産(現預金)なんですよ。驚きでしょう!?
通貨、貨幣を理解すれば、そりゃそうだ!となりますよ、きっと。
実例がコロナ禍にありましたよね。コロナ給付金です。
政府が新規国債(負債)で調達し、全国民へ給付(資産)したのですが、この一連の流れを見ていかがでしょうか。
政府が抱える債務(負債)は民間の資産(預金)となりましたよね。
政府の債務が「直接」国民へ配られた分かりやすい実例ですが、通常は公務員の給料や公共事業などの支出を通じて民間の資産(通貨発行・供給)となるんですよね。
それを、「国の借金は国民一人当たりに換算すると・・・」って、全くを以て意味不明です。
(国債の償還を税金で賄うありえない前提?そのあたりはまたゆっくりと別の機会に)
「政府の債務」を国民一人当たりの「資産」に換算すると・・・または、「通貨の供給量」なら理解できます。
今後メディアなどで国民一人当たりの「借金」と耳にした際、「それって出鱈目だよね」とつっこみを入れてあげてください。
金本位制で無い限り、誰かが「お金」を借りなければ、この世に「通貨」は存在しない、と言うことです。実はこの辺り、資本主義と繋がってきますがまた後程。
「債権の記録」が通貨として日本国内で流通するには、主に3つの条件を満たさなければなりません。
① 通貨単位が円
② 譲渡性がある
国内に於いて信用が担保されていなければ、譲渡性を保有しえない
③ 債務と債券の記録
上記条件を満たすことが出来れば、「通貨」として流通が可能となります。
余談
「仮想通貨」ってよく耳にしますよね。ビットコイン等が有名ですが、実のところ「仮想通貨」なるものは、その辺りに転がっている石ころと同じで、無価値なものに、仮想的価値をつけて取引しているに過ぎないようです。(その発想やプロセスは感嘆しましたが)
「仮想通貨」は、上記3つの条件(通貨)を満たしているのか?ブロックチェーン等のセキュリティ技術を用いてやっと②だけですよね。ですから、どうあがいても通貨になり得ません。
ビットコインで給料を貰って、ビットコインで納税する、考えられますか?
乱高下激しいレートのコインを、給料で貰うリスク、予測できない価値の納税、あり得ないことが理解できると思います。
まぁ、仮想通貨では無く「仮想宝石(ダイヤ?)」ならしっくりきますね。
金本位制とインフレーション
極度のインフレ(物価高)を恐れる世界各国の中枢が、その対策として金本位制を導入した経緯があるようです。
中央銀行を有する国家(政府)は自国通貨を自由に発行できますが、そのリスクとして「インフレ」を呼び込むと考えられ、金(ゴールド)を担保させることで制限、実質的に固定為替相場制を導入に踏み切った。(このあたり、かなり深い歴史があるので、興味あるかたは別途調べてみてください)
なぜそれ程までにインフレを怖がると言えば、国民が「飢え」るからです。
生活に必須となる「食料やエネルギー」が高騰するとどうでしょうか?特に低所得者層にとっては死活問題ですよね。
例えば、お米が2倍の価格になったり、ガスや電気料金が3倍になれば、食料が購入できずに飢えたり、暑い夏や寒い冬を越えられず亡くなる方も出てくるかも知れません。端的に言えば、「政府」はインフレやデフレ(景気)をコントロールする為に「存在」すると言えます。
インフレの主因を「現金紙幣の発行(供給)」と考えていた各国の政府は、物質的に制限をかける方法として金本位制を導入しました。
因みに、金(ゴールド)を担保に発行した紙幣を「兌換紙幣」と呼びます(詳しくは下記wikipediaより参照をご覧ください)。
インフレーションは大きく分けて2種類存在していると言われ、「コストプッシュ型」と「デマンドプル型」があります。
コストプッシュ型
需要が大きく変動せず推移している状況下、実物資源の供給制約がより厳しさを増したとに起因するインフレです。
現在(2023年7月)の日本を見れば理解しやすいと思います。
正に現在の日本はコストプッシュ型インフレであり、供給制約による輸入価格の上昇が主な理由です。食料及びエネルギー自給率の低い日本に於いて、需要と供給による現地価格上昇と円安により(石油やガスも含め)輸入価格が高騰、私たちが購入する際の最終価格が引き上げられています。
因みに現在日本のコストプッシュ型の性格が強く、販売する側は売上は上がっても利益に繋がらなず、消費者と言えば実質賃金が下落する中での出費増加ですから、どうしようもありません。
ここで政府が役割を果たして欲しい所ですが、メディア各種を含めインフレを一括りに認識しがちで、「需要抑制」や日銀の「金融緩和」を槍玉に挙げ「ズレ」た議論がなされているのを散見します。
デマンドプル型
需要増加により供給量(生産量)を上回った時に起こるインフレです。その差異を「インフレギャップ」と呼びます。因みに反対は「デフレギャップ」です。
需要に対し、提供できるモノやサービスが不足している状況なので、販売する側は価格引き上げ圧力が発生します。
例)需要:トマト10個 生産量:トマト5個 = インフレギャップ(差異):5個
(インフレギャップの捉え方について、平均概念や最大概念などありますが、複雑になるので便宜上控えます)
インフレギャップを埋める(インフレ抑制)には、増税などして需要に圧力を加えるか、生産量を増加させる方法があります。
通常の資本主義社会ですと、作れば売れる状況なので、投資をしてでも生産量を増加させますよね。投資をするということは、その分の別の新たな需要が生まれますので、好循環ですね。
デマンドプル型のインフレ状況下で、所得向上率がインフレ率を少し上回り、且つ生産性を高め
ながらコントロールできる状態が「好景気」と呼ばれます。(理想的なインフレ率は2〜3%と言われています)人手も同様でインフレギャップにより、賃金引上げ圧力が加わります。
要は人の取り合いが起こり、働きたい人はより給料の良い所を選ぶようになる訳ですね。
しかし、残念なことに現在の日本は、消費税と度重なる増税(社会保障含め)でデフレが続き、コロナ禍を経て、コストプッシュインフレで苦しみまくっています。更に、外国人労働者を入れて人手の供給しています。(実態を知ればため息が出ますよね)そこに更なる増税、2023年10月にインボイス制度が導入を予定されています。
金本位制
参照元:金本位制 – Wikipedia
狭義の金本位制は、その国の貨幣制度の根幹を成す基準を金と定め、その基礎となる貨幣、すなわち本位貨幣を金貨とし、これに自由鋳造[注釈 2]、自由融解を認め、無制限通用力を与えた制度である。これは特に金貨本位制という。つまり、金そのものを貨幣として実際に流通させる事である。実際には、流通に足りる金貨が常備できない、高額になりがちな金貨は持ち運びが不便、使用により磨耗するなどの理由により、金貨を流通させられない場合が多い。そこで、中央銀行が金地金との交換を保証された兌換紙幣(だかんしへい)および、本位金貨に対する補助貨幣を流通させる事により、貨幣価値を金に裏付けさせる事が行われた。これを金地金本位制(きんじがねほんいせい)という。
一般には、金貨本位制と金地金本位制を含めて金本位制という。さらに、自国で金本位制を実施出来ない場合でも、これを行っている他国の通貨と自国通貨との一定の交換性が保証されている場合には、為替を通じて間接的に金との兌換が行われていると考えて金為替本位制(きんかわせほんいせい)と呼ぶ。広義では、この金為替本位制も金本位制に含める。しかし、金為替本位制は第二次世界大戦後のブレトン・ウッズ体制を別として植民地政府で実施された例が多く、この場合本国の都合で現地の金融活動は多くの点で犠牲を強いられた。
通貨の供給
ここまで読んで頂ければ、通貨(現金)とは何か、お分かり頂けたと思います。
しかし、色々と疑問が湧いてきますよね。
「誰が借りて」、「誰が貸して」、「誰が流通」させたのでしょうか。
ざっくり説明すると・・・
借り手:政府
貸し手:市銀(日銀の場合もあり)
流通:日本銀行
(貸し手:便宜的に、保険会社や個人は省いています)
となります。
??ですよね。
実は、現金紙幣って政府が供給者(発行)なんですよ。
政府が支出して初めて、世の中へ現金紙幣として流通するんです。
出来るだけ簡単に説明しますね。
政府が、新規国債を発行すると、主に市銀(銀行)が購入します。その際、国債(債権)が市銀へ譲渡され、銀行は資産として保有。一方で政府は、「債務」を負うと同時に「資産」である日銀の口座へ預金が積み上がります。
この間のやり取り全て、日本銀行(以下日銀)に保有する口座で行われます。
ここで間違えてはいけないのが、「民間の預金」で「国債を購入していない」ということです。
あくまで市銀は、日銀預金を利子のつく国債に変えているだけです。
(現金紙幣でのやり取りは一切無く、デジタル情報のみ)
補足:市銀は必ず日銀の口座を保有し、規模に応じた預金額を義務付けられています
政府は、調達した現金(日銀預金)を元手に支出します。支出オペレーションのイメージは以下通りです。
①政府が民間へ公共事業を依頼
②建設会社が受注
③政府は小切手で支払い
国債で調達した日銀預金を担保に小切手を発行
④建設会社は小切手を市銀に持ち込む
⑤小切手の現金化
市銀が建設会社の口座に相当額を振り込む
⑥市銀が日本銀行へ小切手を渡す
⑦市銀の保有する日本銀行の口座に相当額が振り込まれる
お分かり頂けましたでしょうか。
政府が国債で調達した日銀預金を、民間へ支出して初めて通貨(現金)が供給される仕組みです。
(実際には、上記⑤の現金化することで、現金が民間へ供給される)
ところで、必ずと言って良いほど「銀行」が関わっていますよね。
日本銀行と役割
これまで日銀について述べてきましたが、ここで改めて役割を簡単に説明します。
日銀は独立性を担保した株式会社であり、日本の中央銀行です。
また、市銀の様に「利益」を目的とした機関ではないため、時価会計を採用していません。
細かな説明は省きますが、政府が日銀の資本金を55%出資しており、事実上政府の子会社です。(日銀の場合は、株式ではなく出資割合で表現されます)
更に下記通り、法律でも定められています。
『日本銀行法 第八条(出資金) 日本銀行の資本金は、政府及び政府以外の者からの出資による一億円とする。
2 前項の日本銀行の資本金のうち政府からの出資の額は、五千五百万円を下回ってはならない。』
日銀は、政府の子会社として、通貨供給に携わり、金利の誘導(調整)を主な業務としています。(イールドカーブコントロール)
今は亡き第二次安倍政権の際、長引くデフレ対策として「異次元の金融緩和」が行われ、現在でも引き継がれています。
この、「金融緩和」は、単に市銀が保有する「国債」を日銀が買い取るだけ、のオペレーションです。
簡単でしょ?
じゃ、何のために買い取っているかと言うと、民間銀行(市銀)が民間へ貸し出す際の金利を低く誘導する為です。実際、住宅ローンなんかも驚くほど低いでしょう?
金利が低ければ、企業の投資意欲を引き出せると考えるのですが、実際は作っても売れない「デフレ」期に、生産量を増加=投資をする筈もないんですよね。
実は、日銀が金融緩和をすれば、その時点で通貨は残りつつも政府の債務は抹消(相殺)しています。
なぜか。簡単です。
日銀が市銀からら国債を買い取ると、政府の債務先が市銀から日銀に移る為です。
これって、家族で例えると、お父さんの債務を、子供が買い取ること同じなんですよ。
お父さんの債権を子供が保有しているということは、「家族単位」でみると債務は相殺されているのが分かりますよね。子供が債権を買い取った時点で、家族単位の債務は消滅している訳です。
ですから、政府の子会社である日銀が金融緩和を行うと、親の政府が抱える債務は実質的に「相殺」さる訳なんです(連結決算ですね)。因みに、日銀が国債を保有する割合は過半数を既に超えています。
と言うことは、政府債務の過半数は事実上帳消しになっているわけです。
一連の政府と日銀を合わせた考え方を「統合政府」と呼びます。
市銀が国債を保有する目的はただ一つで、利子が貰えるからです。借り手のいないデフレ期に、少しでも利益を稼ぐために、新規国債が発行されるといの一番で飛びつくわけです。
政府は国債の利子を払うのですが、もちろん子会社である日銀にも払っています。
ですが、会社組織に於いて子会社が設けた利益は、親会社へ献上しますよね。日銀も同じです。
日銀が得た利益は、国庫納付金として親会社である政府へ献上するのです。
以前国会で、西田昌司議員の「国債利払い」と「国庫納付金」に関する質疑がありました。
少し理解できると、国会中継も面白いですよ。
銀行預金とは
少し寄り道をしますが、急がば回れ、と言うことで通貨(現金)をより理解を深めるために、「預金」の実態を説明いたします。
預金とは、銀行にとっては負債であり、預金者にとっては資産です。
日本全国で流通する現金(円)の内、紙幣及び貨幣の量は約3割、残りの7割は銀行預金と言われています。
現代社会に於いて、現金のやり取りは殆どが銀行預金でなされているので、当然と言えば当然ですよね。
前述で、通貨の供給は「政府」と説明しましたが、実は市銀も供給者なんです。
繰り返しになりますが、現金の正体は「債務と債券の記録」なので、誰かが借入をすれば、この世へ新たに現金が誕生します。
具体例を見ていきます。
銀行が住宅ローン3000万円の貸出を行う場合、借り手の与信審査を実施します。
貸出可能と判断された場合、借り手の口座へ相当額を振り込み(デジタルデータ数値を入力)完了。
さてここで質問です。
銀行はどこから3000万円もの現金を調達しているのでしょうか?
借入しているのでしょうか。それとも顧客の預金、または資本金でしょうか。
答えは、いずれも「×」です。
驚くなかれ、何と銀行は一切の元手無しに「現金(預金)」を貸し出しているのです!(無から有)
但し、需要があれば、の話しですが。お金を借りたい!と申し出が無ければ、貸し出したくても貸せませんよね。そして、貸し出し額の上限は借り手次第(与信)です。
要するに、銀行は信用を担保にお金を無から貸し出しており、住宅ローンで貸し出された3000万円が、この世へ「新たに」現金が誕生した瞬間でもある訳です。
この一連のフローを「信用創造」と呼ばれます。要するに信用を担保に預金(通貨)が創造される、と言うことです。
銀行の貸し出しは、借り手の口座に数字を打ち込むだけなので、手元に現金紙幣は必要ありません。
必要となる場合は、預金者が口座から預貯金を卸すときですよね。銀行は手元に現金紙幣を多く置いていませんから、多額となる場合は必ず申し出が必要ですし、相当の時間もかかります。
(実際は、銀行間で日銀口座を用いて短期借入などで調達しあっていますが、詳細は省きます)
仮に、顧客の銀行預金を元手に現金を貸し出したとします。その場合、この世へ新たに現金が誕生した、といえませんよね。右から左に、左から右に移動しただけで、現金自体増は減無いため。
更に、又貸しにもなりますし(違法?)、預金者が卸すときに現金が無ければ大変な事態となります。
では住宅ローンを全て返済したとします。その際、現金はどうなるのでしょうか。
そうです。この世から消滅してしまいます。
余談
デフレが長く続く日本では需要が乏しく、所得の中央値が激減し、更に実質賃金も下落し続けるなか、「借金」は「悪」、直ちに「返済」しなければならない、と言う考え方が一般的です。
企業と言えば、法人税が引き下げられるも、株主優先で配当金引き上げや自社株買いに勤しみ、内部留保を積み上げているのが現状です。(特に大企業)
一方で家計といえば、貯金は「善」とし、隙あらば貯蓄に走っています。
特に家計に於いては「合理的な判断」であり、誰しもが責めることはできません。
通貨量(現金)としての側面はどうなのでしょうか。
債務を返済すればこの世から現金が消滅しますし、民間(企業・家計)は預金を増やす一方、通貨(現金)の量、流通量(売買取引)が減少し続ける状況は頷けますよね。
実際、通貨量(現金)は政府が支出することで供給できるのですが、その動きは非常に鈍いです。
因みに、国内に於ける通貨量(現金)は日銀が完全に把握しているんですよ。
通貨量が減少すればどうなると思いますか?
少し難しい問いなのですが、ぜひ考えてみてください。
・・・
・・・
・・・
誰かの「負債」は誰かの「資産」、誰かの「借金」は誰かの「資産(現金含む)」ですよね。
借金(債務)が減っていくと言うことは、誰かの資産も減少する。
通貨量(現金)が減れば、通貨の希少性が高まる。
通貨の希少性が高まるとは、通貨の価値が上昇する。
通貨の価値が高まるということは、モノやサービスが相対的に安くなる。
モノやサービスが安くなれば、売り上げは下がる。
売上が下がると、利益は減少する。
利益の減少は、賃金の減少に直結する。
賃金(所得)が減少すれば、購買力も減少する。
購買力が減少すると、モノやサービスはもっと売れなくなる。
長期間モノが売れなくなると、投資とは真逆に供給力を引き下げて生産量を調整。
(売れ残り(販売ロス)を縮小させるよう調整が入る)
通貨量が同様に減少し続ける。
・・・
いかがでしょうか。
この状況を「デフレーション」や「デフレスパイラル」と呼ばれます。
まさに日本の現状です。よく耳にする「失われた30年」ですね。
世界各国の経済担当は「日本のように、ならないように」を合言葉に日々、日本を分析しているようです。
何だか悔しいですし、何とかしたい気持ちになります?
政府も民間も全て、債務を返済した場合、この世から全てのお金が消滅するのですよ。
そうなれば、資本主義も消滅しますし、経済も消滅しますね。間違えなく。
整理すると、市銀は無から貸し出しを行い、創造する預金(通貨)は民間の借り手次第で増減する
では、政府が発行する通貨は、どのように流通しどのように消滅するのでしょうか。
政府の通貨発行と回収
政府が円通貨(現金)を発行するプロセスは、前述で見てきた通りですが、どのように流通(譲渡性を保有)させているのでしょうか。
そもそも、債券として信用の担保、裏付けは何なのでしょうか。
現金紙幣の正体で説明しましたが、「債務と債券の記録」に「譲渡性」を持たせる、即ち、相応の信用を担保させること、現社会に於いて「政府」以外に不可能なんです。
結論を述べますと、租税(徴税)です。
そして、徴税権は途轍も無い権力です。
国民に対し、政府は納税を求めていますが、その際の通貨単位は勿論「円」です。
私達国民が、円を納税するには、当然「円」を資産(現金・預貯金)として保有していなければなりません。
要は、納税義務を通じて「円」(債務と債権の記録)が必要であり、裏を返せば納税が「円」の信用を担保していると言えます。それも絶大な。
(なるほど!となりませんか?私はこの理論を理解した瞬間、鳥肌が立ちました。通貨(現金)に対する見方やありとあらゆる考え方が一変しました)
ここでイメージがもう一つ湧かない方へ説明しますね。
仮に、USドル単位の通貨で日本国政府から納税を求められた場合、いかがでしょうか。
円を持っていても、納税出来ないのでUSドルが欲しくなりますよね。そうすると、次第に国内に於けるUSドルの需要が高まり、反対に日本円ば需要は減少するでしょう。
政府が定める通貨(単位)で納税しなければならないので、絶対的に必要となるのです。
なんと無く、そうなんだなって思いませんか?
そして、その納税をする通貨を発行しているのが、政府です(支出)。
重要なので繰り返しますが、政府が債務を抱え支出(通貨発行)しなければ、納税するための通貨(現金)も存在しない、ということです。
イメージできましたでしょうか。
因みに、これまでの考え方を「信用貨幣論」と呼びます。
さて、租税に話を戻しますが、通貨の流通面からの「徴税」ってどのような意味を持つでしょうか。
(問ばかりで恐縮いたしますが、理解を深めて頂くためにご理解願います)
政府が支出することを、通貨の発行(供給)と呼ぶ半面、徴税は通貨の「回収」と呼びます。
「回収」?ってなりますよね。私もそうでした。
一般的に徴税は、政府支出の「財源」としてメディアや学校(大学含め)などあらゆる場面で説明していますが、これは大きな間違いです。繰り返し言いますが、間違いです!
(もし、納得のいかない方がいらっしゃいましたら、コメントで質問を頂くか、ご自分で調べてみてください)
政府支出の財源は税金では無く、国債(短期・長期)だけです。税金の財源論は事実上不可能ですから。
ここが重要なのですが、そもそも政府が支出しない限り、通貨は一円たりとも流通し得ません。
政府が支出した(発行した)通貨の一部を、徴税で回収している、これが事実なんです。政府が支出(通貨発行)しない限り、どうやって国民は納税するのでしょうか。不可能ですよね。そう、不可能なんです。
例外があるとすれば、「バブル期」ですかね。バブル期は、政府が支出しなくても、民間が次から次と借入を行い、それこそ歯止めなく投資や投機を行うので、通貨量はどんどん増していきます。
多すぎる通貨は価値を下げ、インフレになる訳ですね。ただし、政府支出による通貨創造と、民間の通貨創造には大きな違いが一つあります。
もうお分かりですよね?そう、民間が銀行へ返済を行うと通貨(現金)は消滅していきます。要は、政府の意思では無く、民間の意思決定で通貨が増減するということです。因みに、バブル期だけが、政府は単年では黒字化します。
バブルが弾け、民間が借金を返済に勤しむとしても、政府はただ眺めるほかありません。
一方で、政府支出の通貨は、徴税で回収し国債を償還しない限り、消滅するこはありません。
要は、政府が創造した貨幣は政府が制御できる、ということです。通貨流通量が少なければ、回収(徴税)を減らして、通貨を増加(政府支出)すれば良いのです。
しかも、ただ回収だけの為に徴税している訳ではありません。後に述べますが、きちんと目的を持っています。
政府支出により通貨が発行され初めて、民間同士の取引が可能となり、更には銀行から借り入れを行い経済活動を行える訳です。
前述で触れましたが、政府や民間に於いて「全て」債務を返済すると、この世から通貨(現金)は消滅します。
資本主義社会に於いて、債務を返済しきることはあり得ないので、極論となりますが事実です。
通貨が消滅してどのように経済活動を行うのでしょうか。そりゃ無理な話です。
じゃ、徴税の目的は?
先ほど述べた通り、通貨の「回収」です。
そして、その「回収」方法に大変重要な「目的」を持っています。
目的とは、「格差を是正」する為の「累進課税(所得税など)」や、「二酸化炭素排出の抑制」を求める炭素税(罰金の類ですね)。その他様々です。
但し、「消費税」は悪税極まりない租税と言えます。
消費(買い物)に罰金を課す消費税」
需要と消費が縮小し賃金下落に苦しく国民へ、更なる消費に罰を与える消費税。
更に、「累進課税」である所得税とは真逆の「逆累進性」だから始末に負えない。
「逆累進課税」は言葉の通り、所得が低ければ低いほど、所得に対し高課税になる仕組み。
まさに格差拡大です。本当に意味わかりません。
なぜ逆累進かと言うと、所得が低い方は、所得のうち生活費で支出する割合が高くなります。
例えば、年収200万の人がいれば、おそらくその全てが生活費で支出すると思います。
年収200万円 支出200万円(消費税18.2万円)の場合
所得に対する消費税負担割合: 18.2➗200 = 9.1%
年収600万円 支出300万円(負担:27.2万円)の場合
所得に対する消費税負担割合: 27.2➗300 = 4.5%
所得200万円の人の消費税負担率は9.1%、600万円の人はプラスで100万円多く支出しても尚、4.5%の負担割合なのです。そりゃ、格差広がる訳ですね。
低所得者であろうと消費をしなければ、生きては行けません。
消費増税時の謳い文句を覚えていますか?社会保障の財源、皆保険制度や高齢化に伴う社会保障費の増加に対応するためにやむを得ない、と言っていましたよね。
実際は、ほとんど社会保障に充てられていません。そもそも、目的を持った徴税(特別徴税)は特別会計処理で財布を分けて管理し、適宜活用されます。
本当に社会保障に充てるのでしたら、消費税は特別会計で処理されるはずです。しかし、消費税は通常の徴税と同様の一般会計なのです。
よくもまぁ、ここまで国民を騙すものだと感心しました。
因みに海外も消費税に似た「付加価値税」なるものがあります。国会でよく財務省や財務大臣が海外の付加価値税はもっと税率が高く、日本は低い位だと指摘しています。
付加価値税を導入した最初の国は確か、フランスだったと思います。自国輸出企業を優位に立たせるに?と考えた政府は、WTO(国際貿易機関)を欺きつつ輸出企業に補助金を与え、価格競争力を持たせる方法を考えだしたのです。まさにその方法が付加価値税の導入です。輸出還付金ですな。もちろん日本の消費税も同様です。
整理すると、付加価値税(消費税)の導入目的は、輸出企業への補助であり、その財源を国民に負担させていると言うことですね。そして日本の場合は副産物の効果として、消費に罰を与え。消費縮小を促すのです。おまけに格差も広げる、一石三鳥。何とまぁ酷い税でしょうか。
(詳しく知りたい方は、「輸出企業への補助金と付加価値税」と検索してご自分調べてみてください)
話を戻しますね。
では、通貨回収自体の目的は通貨流通量の「調整」です。本来は。
つたない図ですが、下記ご覧ください。
政府が支出することで通貨の供給を行い、民間はその通貨を使用して経済を回しています。
通貨量が多くなれば、通貨価値は下がり「インフレ」になります。この理屈はわかりますか?
分かりやすく説明すると、皆が金持ち(資産保有)になったとして(通貨量過多)、購買力が増加しますよね。例えば、皆が戸建ての家が欲しい!となったとして、皆が家を建てること可能でしょうか?
勿論不可能です。なぜか。それは供給制限があるからです。無限に人手があり、無限に資材があるならば供給は可能かも知れません。ですが、人手も資材も有限ですよね。
人も、資材も取り合いとなり、人件費や原材料費は高騰しますし、当然最終価格も高騰するでしょう。
要するに、インフレ(デマンドプル型)が起こるのです。
ですが、需要増によるインフレギャップが発生した状態が続くと(作れば売れる)、民間は需要に合わせ投資を行い供給量を増加させるでしょう。供給力の増加はインフレを抑えるので、価格はいずれ落ち着いてくると思います。しかし人手不足はそう簡単に解消しないため、所得向上していきますよね(移民を入れない限り)。更に生産性を向上にも向くので、きちんと分配されれば更なる所得向上を見込めます。
では、国の経済規模(GDP)はどうなっていると思いますか?恐らく拡大していくでしょう。
経済規模が増加するということは、上記図の民間タンクは大きくなり、沢山の通貨を回せますし、更に通貨を欲するのではないでしょうか。
この状態を好景気と呼び、行き過ぎると「バブル」となってしまいます。
話し戻しますと、通貨の供給と回収(徴税)は経済の調整弁と言えます。
現在の日本がおかれる状況を見れば、理解しやすいと思います(悲しいですが)。
蛇口から出る水の量(通貨供給)を細く絞り(緊縮)、経済の回転速度は非常に遅く(家計の貯蓄、企業の投資不足・内部留保)、下水に流れる量(徴税・通貨の回収)は増加しています。このままだとどうなるのでしょうか。当然タンクの水位はどんどん下がっていきますよね。
これは、負債と資産の話でもあり、政府の負債の発生を減らし(蛇口を絞る)、徴税により民間資産の回収量を増やしている。仮にこの状況が長く続けは、経済を回すだけの通貨(資産)が足りず、加速的に貧困化するでしょうね。
通貨量が減少すると言うことは、先ほどのインフレと真逆で通貨価値が上昇「デフレ」となります。
例えば、欲しい服があったとします。1日まてば、1%安くなり、5日待てば10%安くなる状況なら、即買わずに最大限安くなるまで(売り切れない程度)待ちますよね。1日たてば服に対する1%分通貨の価値が上昇、5日まてば10%の価値が上昇。そりゃ、デフレ期は誰もお金を使わず、貯蓄しますわな。自ずとデフレスパイラルに陥り抜け出せなくなる。まさに現在の日本です。
いかがでしょうか。
国富
さて、ここまで読んで下さった方は、ほぼ通貨(現金紙幣・貨幣)を理解されていると思います。
通貨(貨幣・紙幣・預金)はそれ自体に価値があるわけではなく、政府及び日銀が信用を担保にして、「債権証」を流通させているだけでしたね。
ここで、通貨の価値については、別の視点から考えてみます。
唐突ですが、「国富」とは、何だと思いますか?
国富とは、国(日本)の富ですよね。
個人にとっての富は、預貯金だったり、固定資産(土地や家屋)だったりしますよね。まぁ人それぞれですが。
国が保有する資産でしょうか。現金?債権?対外純資産?
因みに、「日本は借金を抱えすぎで破綻(債務不履行)する、増税が必要だ!」とよく耳にすると思いますが、それならば日本は対外純資産の保有は世界一ですよ。即ち、世界一金持ち。
それに、債務を抱えているのは「国」ではなく「政府」ですから、大きな違いです。
債務はほとんどが国債ですが、自国通貨建(円)であり、変動為替相場制を採用している日本は、破綻したくても出来ない環境です。(日銀が国債を買い取れば終了)
例えば、ドルを保有していない状態でドル建ての国債を発行し、固定為替相場制を採用すれば、債務不履行(デフォルト)になれるかも、です。まぁ、そんなことする必要ないので、日本は破綻しません。
よく例えでギリシャのデフォルトをあげる方がいらっしゃいますが、ユーロ加盟国で自国で通貨(ユーロ)を発行できないし、中央銀行はユーロ統括ですからね。日本の様に、中央銀行(日銀)が既発債(発行済み国債)を買い取る(金融緩和)ことできませんから。
既発債を日銀がたらふく購入しても、インフレは起こり得ませんしね。既発債を日銀が購入しても、政府支出するわけではないので、当たり前です。(今の日本が実例で、誰も否定できませんから)
国富の話に戻りますが、
結論、現金でもなく、対外資産でもなく・・・日本の供給力なんです!
国内の供給力、それ自体が「国富」なんですよ。
ピンと来ない方もいらっしゃると思いますので、少し例題で説明いたします。
海外通貨に対する価値から考察する国富
円、ドル、ポンド、ユーロなどの世界主要通貨。これらは通貨は信用度が高く、日々多くの決算や為替取引がなされています。
では、それ以外の国の通貨とどのように異なるのか見ていきす。
中東のスイスと呼ばれるレバノン。通貨はレバノンポンド。
この国の主な産業は「金融と観光」です。
もし、読者のあなたが世界主要通貨の何れか、またはレバノンポンドを貰えるとするならば、どこの通貨が欲しいですか?(両替は不可とします)
私はもちろん「円」ですが、その他でしたらドルですかね。
恐らく、皆さんもほぼ同等の選択をなされたのではないでしょうか。
なぜ、レバノンポンドを選ばないのでしょうか。
もちろん、日本人だから、という理由もありますが、それだけでは無いですよね。
概ね理由は、レバノンポンドを貰ってもコレクションになる位で「使うことがないから」ではないでしょうか。
レバノンポンドを持って、レバノンで何を買うの?ってなりませんか。
観光も興味がない人にとっては、主要品でも何でもないですし。
ドルなら、世界共通通貨でもあるので決算に使えますし、アメリカで様々なモノやサービスを購入できます。その他の主要通貨も然り。
しかし、レバノンポンドでレバノンで何を買うの?(お土産を除いて)
レバノン製の車?レバノン製のスマートフォン?レバノン製の何か?
そうなんです。対外に於ける通貨価値の本質は「その国の通貨で、その国が生産したモノ(サービス)の何を買えるか?」だと考えるのです。
為替は投機で大きく変動するので、その国の通貨価値を表しているとが言い切れません。
(レバノンを卑下している訳ではありません。あくまで生産と供給面から見た評価です)
いかがでしょうか。
供給力(生産力)がその国の国富であると、イメージできたと思います。
物理的には、道路や橋、ダムなど様々なインフラストラクチャー(インフラ)も国富の一つとして数えることが出来ると思います。
しかし、それらインフラを作るのは、生産供給してくれるのは誰なのでしょうか。
「働く人」ですよね。
そうなんです、究極的に国富とは「働く人」に帰結します。
人が働くからこそ、生産し供給できるのです。
大きなビル、大きな橋、海の下を潜るトンネルを作る築土構木、お米や野菜、畜産、農家、漁家、間違えなく迅速に物を届ける運輸(ドライバー)、時間通りに人を運ぶ電車。
ありゆあらゆる業種で、ありとあらゆる人が働いていらっしゃいます。
こうやって鳥瞰しますと、「働くことは素敵だなぁ」と思う訳です。
そして、これこそが「国富」なんです。
このように考えると、通貨の価値も「皆さんが働くことで支えている」と言ってもあながち間違っていと思います。
国富の話は以上なのですが、現金自体に価値は無く、どこまでいっても「債務と債権の記録」に過ぎないということです。
確かに、現金(通貨)で生きていく上で必要な糧を得るので、無くてはならないのも事実です。
しかし、繰り返しになりますが、人が働いて生産する以上、生産されたモノやサービスがあるからこそ、通貨を利用しているに過ぎないのです。それ以上それ以下でも無いと思います。
農家(食糧生産者)の生産性が著しく低下し、自給で精一杯となった場合、現金を幾ら積んでも食糧を売ってくれないでしょう。視点を変えると、極度のインフレでお金に価値が無い状態、というのが分かると思います。
伊和香出店の決意
私は、通貨の正体を知ってからは、「借金」に対してネガティブ印象はほぼ消え去りました。
「恐怖心」って、人が生きていく以上常に存在しますよね。
「怖い」っていう心情な何故生まれるのか、とことん考えた事があって、「知らない」という言葉に辿りつきました。
要は、相手を『知らず』「想像」で恐怖心を作り出し、怯えている状態だった、ということです。
その相手を「知る事ができれば」準備や対策を講じる事ができますし、無闇に怯えることはなくなりますよね。
「お金」を知ることで、意識上「借金」が「借入」になり、「投資」になりました。
さらには、投資を行うからこそ経済が拡大し(通貨の増加)、資本主義社会が成り立つのだと。
そして、伊和香出店について本気で考え始めました。
悩み
前職で長年に渡り目の当たりにしてきた、表面的な健康を謳い、輸入食材と添加物の山を提供、利益最大化だけを求める姿勢。
経済や地政学、食と命と健康、会社で、生活で、役立てようと勉強しまくってきました。
知れば知るほど、会社の社会は限りなく小さく、建前だけの張りぼてに見えてきた。
周回遅れのグローバル思考と、日経新聞やプレジデントでよく書かれている決まり文句を我が言葉として発する社長。
沢山悩みました。
会社の小さな社会の中だけで会話し、批判し、好き嫌いで人を操作し、足元しか興味が無い役員。
その小さな社会が全てかのように思いこみ、横柄な姿勢で物事を判断。
小さい事、弱いことが決して悪い訳ではない。ただ、認識した上で国民国家社会と繋がり、地域貢献のために企業は存続すべきと思う。地域貢献無くして、企業は存続できないと学んだ。
外に目を向けると、衰退する国内産業。農業、漁業、工業、あらゆる分野の空洞化。
アメリカからの要望を受けて小泉総理時代に始まった、農協改革による国内農業破壊活動。
鈴木宣弘先生の名言、「今だけ金だけ自分だけ」主義の蔓延。
広く横たわる誤った貨幣観と税金財源主義(財政均衡主義)の緊縮政策と徴税(消費税)。
・・・
自分に何が出来るのだろう。
感謝と恩返し
社会、地域、過去から現在に至る日々働く方へ感謝をすること。
パソコンでネットを介してECサイトへ注文してモノが届く。
パソコンは誰が作っているのか。最終製品はメーカー、各種マイクロチップ、基盤、SSD、メモリ、ディスプレイ、マウス。とそれぞれの会社。
日々当たり前の様に使っている重要な電気は、関電が管理(大阪)している。需要を予測し発電所でタービンを回し発電。電機は貯蓄できない。発電すれば流す他無い。また電圧を一定にしなければ、停電するし機械は壊れる。停電させないために、無茶苦茶頑張って働いている。それも24時間体制で。電線のメンテナンス、高所での作業、本当に大変な仕事で尊敬している。
インターネット回線とプロバイダー、日々のメンテナンス。
誰が運ぶのか。トラック、トラックを製造する企業と携わる数万の下請け会社、ドライバー、モノを貯蔵する倉庫。
何万、何十万、何百万の人が働くことで、簡単にパソコンでモノを購入し届けてもらっている。
一歩家を出れば、道路がある。当たり前のようにある。先人が公共投資を行い、作ってくれたもの。
当たり前など、この世に有りはしない。
モノやサービスを使用させてもらえることに、感謝。
お金を出せばよい、と言うものでない。
伊和香へ毎週来てくれるゴミ回収業者。心から感謝している。
匂いがするゴミ、汚く嫌な仕事と呼ばれる。昔、底辺の人が働く仕事と聞いた。
とんでもない。ふざけるな!言いたい。
皆が嫌で、誰もがゴミ回収をしなければ、家中、町中、ゴミだらけになる。
当然不衛生になり、疫病も蔓延するだろう。沢山の人が亡くなる可能性すらある。
たかがゴミ、底辺の仕事と馬鹿にしている人がいるならば、その人の心が底辺と断言する。
ゴミ回収業者も、誇れるとても立派な仕事である。
そうやって、皆が働いた結果、モノやサービスが生まれ、皆が利用させてもらっている。
伊和香オーナーが働く理由はそこにあり。
家族を支える為に働く。勿論だ。
それに加えて、日々の感謝すると同時に、恩返ししたいと願う。
恩返しこそ「働く」である。
自ら働き、僅かでもモノやサービスを生産し、誰かに利用してもらう。
会社勤めしているとき、幾ら頑張って働き、業務をこなし、いくら利益に貢献しても、恩返しをしている感覚は皆無だった。
そこが会社勤めで最たる悩みだった。
この意識、この思い、この悩みを抱えている姿は、子供たちにどのように映るのか。
それを考えまた悩む。子供たちにどのような背中を見せてあげられているのだろうか。
そして、資本主義に答えがあることに気付き始める。
誰がどれだけ否定し、批判しようとも、現在の社会は資本主義。
この資本主義と向き合い、たった一度の人生で、何を成しえて、恩返しができるのか。
年齢も重ね、独立するには遅すぎたかもしれない。
それでも、悩みと向き合い辿り着いたのが、伊和香出店だった。
地域貢献。地元の野菜を使用し、少しでも需要を作り、農家さんを支えつつ、お客様の健康を願う。
正に、答えはそこにあったのです。
そう決めたら、ひたすらまっしぐら。
そして、現在に至る。
資本主義と信用創造
最後に、資本主義について私の解釈を述べて、締めくくりたいと思います。
読者の皆さんは「資本主義」とは?と聞かれたら何と説明しますか?
これまた、「お金」と同様に難しいですよね。
資本主義、私なりの解釈を簡潔に述べるとすれば、「借入」と「投資」です。
(ここでの「投資」は、短期で売買する株式や、FXなどの「投機」とは全く別物なのであしからず)
経済が拡大する即ち資本主義とは、通貨が創造されるプロセスそのものなのです。
例えば、100円ずつ保有した3人(A、B、C)が、無人島で暮らすことになったとします。
食料の調達はAさんは漁猟、Bさんは狩猟、Cさんは作物を育て、お互い手持ち現金にて売買しています。
この島に存在する現金は合計300円で、どれだけ繰り返し売買しても、現金は移動するだけで一切増減はしません。当然ですよね。
さてここで、島の現金が増加するにはどうすれば良いのでしょうか?
3人の内誰かに対し債務を負い、「譲渡性」をもった「債権証書」を発行すれば良いのですよね。
具体的には、現金を保有しないBさんが「現金」の代わりに、「債権証を手渡し」Aさんから魚を貰いました。(Bさんは負債を抱えると同時に、資産である食料を手に入れています。)
そして債権証には説明があり、「この証書をBへお持ち頂ければ、必ず100円相当の食料と交換する」と書かれています。この説明は、この島でしか通用しない「信用を担保」にした「譲渡性」をもたらしています。そして、単位は円なので通貨の条件を全て満たしています。
AさんがCさんへ100円相当の食料と債券証書で代金を支払う。
事実上この島に存在する現金は400円に増加していることがわかると思います。
同時に島の経済規模が大きくなっています。
正にこれこそが信用創造プロセスであり、資本主義をよく表していると思います。
問題です。
BさんがAさんへ債務を返済した場合、この島で流通する現金の合計はいくらでしょうか?
もう皆さんはお分かりですよね。そ債務を返済すると通貨は消滅するので、300円の戻ります。
最後に政府が登場し「毎年島民から各自50円の徴税(島民による債権の記録での納税不可)」を行いました。現金はどうなるのでしょうか。
徴税額は50円×3人=150円、翌年の納税で島の現金は完全消滅してしまいます。
無人島における資本主義は崩壊となるわけですね。
政府は徴税した通貨を、国債償還に充てた場合(債務の返済)、完全にこの世から通貨は消滅します。
債務返済ばかりする世の中は、資本主知の終焉、崩壊と言えることが理解頂けると思います。
以上、いかがでしたでしょうか。
今回、全てではないものの自身が学んできた貨幣や資本主義経済について、俯瞰的に述べてきました。
ここで書いている内容に対し、そしゃおかしいだろ!と思われる方。疑問に感じられる方、大歓迎です。是非、論点をご自分で調べて、自分なりに理解してみてください。
理解に苦しむ箇所、疑問点などコメント頂けましたら、出来る限りお答えいたします。
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もし、ご興味持たれた方は是非著書を手に取ってみてくださいね?
今回も最後までお読み頂き、誠にありがとうございました!
参考
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- ビジネススクールが教えない経営学
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- 国民の道徳 :西部邁
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